ときまき!

謎の創作集団による、狂気と混沌の執筆バトル。

「「「多重鍵括弧」」」の是非と複数人が同時に話す描写の書き方

「多重鍵括弧」とは鍵括弧を重ねて用いることにより、複数人が同じ台詞を重ねて発したように読解させる修辞技法のひとつである。

例えばN氏とS氏とZ氏が同時に「やっほー」と声をあげるシーンで

「「「やっほー」」」

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小説における俯瞰・アオリ・遠近法の描写例(序次法のレトリック)

例えば漫画を勉強している人は、ストーリーやキャラの作り方に加えて、画力アップのための描写技法を学んでいます。コマ割り・人物パース・遠近法などですね。

「描く」か「書く」かの違いはあれど、小説の描写においても遠近法・アオリ・俯瞰を書くための技法があります。今回は描写術の基本中の基本。序次法(じょじほう)のレトリックを学びます。

1.俯瞰で描く

このようにビルの屋上から街を見下ろしているようなシーンで使われるのが俯瞰です。俯瞰を効果的に描写している具体例を挙げてみます。

街を見おろすような位置にある、ひときわ高いそのビルの屋上に、ちっこい塊のような人影がひとつ、丸まるようにして座り込んでいた。

(引用:上遠野浩平『ブギーポップ・クエスチョン 沈黙ピラミッド』p.23 電撃文庫)

簡単そうに思えて、しかし意識しなければ書くことのできない一文です。上記描写における役割を3つに分けて考察していきます。

1-1.視点(カメラ)の固定

『街を見おろすような位置にある』は、読者のイメージする視点を俯瞰図に固定するための表現です。この文章の効果により、上空から街を見おろしているようなイメージが想起されます。

1-2.位置の固定

『ひときわ高いビルの屋上に』は、イメージされる場所の位置を明確にするための表現です。屋上と一言に述べても、学校の屋上や展望台、アパートの最上階など色々ありますので、ここで場所と高さをはっきりさせておきます。

1-3.描写対象の固定

『ちっこい塊のような人影がひとつ、丸まるようにして座り込んでいた。』

屋上の上に座っている人物のやや背後にカメラを置いて、これからこの人物を描写することを示す一文です。

ポイントは、流し読みしたときに「人物がビル屋上から街を見おろしている」イメージが想起されることです。文中の「街を見おろす」にかかる主語は「ビルの屋上の位置」にあたりますが、実際に読者が読むときの体感では「ちっこい塊のような人影」こそが街を見おろす主体となるのです。

と言っても、これだけでは当該描写の何がすごいのかがわかりづらいので、比較対象として悪例を載せてみます。以下の描写は私の書いたものです。

悪例A 視点の不在

ビルの屋上から小さな人影が街を見おろしていた。

カメラ(視線)が屋上を見上げているのか、人影を見おろしているのか、一切読み取ることができません。また、描写主体が人影にあるのか、人影を観察している人物にあるのかを読み取ることができません。

読者にシーンをイメージさせる意図としては不十分な描写であり、何らかの補足が欲しいところです。

悪例B 視点の混在あるいは無意味描写

不気味な赤味を帯びた空の下、ビルの屋上に人影がひとつ、街を見おろすようにして座り込んでいた。

『赤味を帯びた空』は見上げる視点であり、『街を見おろすように』は見下げる視点です。視点が混在することにより、『人影が街を見おろしている』というイメージを強調しづらくなっています。

ここでは、果たして本当に空の様子を描写する必要があったのか、が問題となります。

俯瞰ではない例

屋上を吹き抜ける風にあおられ長い髪がなびく。落下防止用の柵の向こうに座り込むようにして、少女は街を見おろしていた。

これは描写としては然程おかしくはないかな、と考えています。

ただし視点は俯瞰ではなく、少女を真横あるいは斜め後ろ方面から観察しているような印象になるかと。

まとめますと、シーン始めの描写では下記の点に気をつける必要があります。

  1. シーンを描く《カメラ》の位置と方向を意識すること
  2. 描かれる《場所》を明確にすること
  3. 主体となる《描写対象》を明確にすること

【発展編】序次法のレトリック

さて、もう一度、先の引用例文を読み返してみましょう。

街を見おろすような位置にある、ひときわ高いそのビルの屋上に、ちっこい塊のような人影がひとつ、丸まるようにして座り込んでいた。

(引用:上遠野浩平『ブギーポップ・クエスチョン 沈黙ピラミッド』p.23 電撃文庫)

上記文章では序次法(じょじほう)と呼ばれるレトリックが用いられています。序次法というのは、簡単に言えば《描写する順番》に気を配る手法です。例えば「手前→奥」「大きいもの→小さいもの」と順番に描写を重ねていくことで、文章が読みやすくなります。

例文では

  1. 街(大きい/広い)
  2. ビルの屋上(小さい/狭まる)
  3. ちっこい塊のような人影(さらに小さい/さらに狭まる)

大→中→小と次第に描写範囲が狭まっていることが分かります。上空に撮影用ヘリコプターを飛ばして、そのカメラで「街→屋上→人影」とズームインしていく様子を想像してみてください。

序次法の基本はズームインです。ライトノベルであっても純文学であっても、この手法に差異はありません。

先日の記事「小説の描写に《動き》を与える方法 - ときまき!」では、夏目漱石と太宰治の作品を例に、序次法について考察をおこないました。こちらを合わせて読むと、より理解が深まることでしょう。

2.アオリで描く

このように下から上を見上げているようなシーンがあおりです。

俯瞰の項で引用した『ブギーポップ沈黙ピラミッド』では、ヒロインがまさに鉄塔を見上げるシーンの描写も登場します。

それが以下の文章。

空に掛けられている電線よりもさらに上の位置、そのてっぺんのところに、普通はあり得ないものが、当然のように座っていた。

(引用:上遠野浩平『ブギーポップ・クエスチョン 沈黙ピラミッド』p.55 電撃文庫)

※文脈補足。そのてっぺん=鉄塔のてっぺん

ここでのポイントも『空に掛けられている電線よりもさらに上の位置』という表現。視線の動きとして「電線→さらに上の位置」と移動させることにより、鉄塔を見上げるイメージを沸き起こしています。

下から上へと、カメラが見上げていくイメージです。これも同様に序次法が使われています。

  1. 空の電線(低所/範囲:広)
  2. 鉄塔のてっぺん(高所/範囲:中)
  3. 座っているあり得ないもの(最高所/範囲:狭)

見上げて、さらに描写対象へとズームインしていくのが読み取れるかと思います。

余談ですが、今回引用しました『ブギーポップ・クエスチョン 沈黙ピラミッド』はシリーズ物の続編にあたるため、もしご興味のある方がいらっしゃいましたら第一巻の『ブギーポップは笑わない』から読み始めることをおすすめします。


ブギーポップは笑わない (電撃文庫) [ 上遠野浩平 ]

初版は1998年です。私が読んだのも中学生くらいのときで、とても懐かしい……。ライトノベルを語る上では絶対に外せない、名作中の名作です。

閑話休題。

3.遠近法で描く

漫画のパースや美術の授業でおなじみの一点透視図法、二点透視図法、三点透視法などなど。

小説では「道」に関する描写をするときに、遠近法がよく使われます。

今現在居る場所から目的地の場所を眺めるのであれば、基本的には「近く」から「遠く」の順に描写していくことになるでしょう。

繰り返しますが、手前から奥へ、近くから遠くへとフォーカスしていく描き方は、序次法の基本です。必ずしもこう書かなければならない!というわけでは決してないのですが、「型破り」をするためにも基本の型を知っておくことは大切です。

分かりやすい例文を見てみましょう。

いつ舗装したのかも分からない、所々罅割れて短い草まで生えている風化した農道の端は、風に揺れる瑞々しい色の雑草が伸び、緑に縁取って、向こうの里山まで続いている。

(引用 甲田学人『ノロワレ』 p.11 電撃文庫)

 ※補足:罅割れる(ひびわれる)、瑞々しい(みずみずしい)

まさにこれなんですね、うまいなぁ……と感じます。

  1. ひび割れた舗装・短い草(手前/近距離)
  2. 農道の端、瑞々しい色の雑草(少し視線が離れる/中距離)
  3. 向こうの里山(遠距離)

と基本に忠実に描写されています。カメラがズームインしているのとは少々異なるものの、主人公がこれから向かう先の「里山の方角≒描写対象」へと視点が移動していきます。

また、上記文章では序次法に加えて転置法(語順を乱すレトリック)も使われていますが、今回はひとまず置いておきます。

序次法は「描写する順序の重要性」を教えてくれます。例えば下記のように、描写する順番を入れ替えてみると、まったくの無意味描写となってしまいます。

悪例

向こうの里山まで続く農道の端には、罅割れたアスファルトから伸びた雑草が頭をもたげて風に揺れているのだった。

これだとイメージが頭に入ってこないうえに、何を描きたいのかさっぱり分からなくなる。描写に遠近法が生かされていないとこのようになります。

引用作の描写だと「手前から奥へ」と視線が流れるのに対し、悪例は「奥へ向かう視線」と「手前へ向かう視線」とが混在しているわけです。 

4.まとめ

なんか色々と知ったかぶって書いてしまいましたが、創作技法や理論云々よりも実践あるのみで、書いて書いて書きまくることが大切ですね。(ワナブーメラン

とはいえ、レトリックを知れば描写が格段に書きやすくなるのは事実です。

基本は手前から奥へ。一貫した視線の流れを描く」を意識してみましょう。また、こうした意識を向けて小説を読んでみると(おっ、この著者はわざと序次法の型を外してきているな)といったことも見抜けるようになります。

ということで小説描写のお役に立てましたら幸いです。

(終わり) 執筆・改稿/海鳥まき ※旧筆名オロロン

※記事中の写真はCC0 パブリック・ドメインの写真素材サイトpixabay.comからお借りしたものです。

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小説の描写に《動き》を与える方法

「小説の描写に動きがほしい!」と思ったときは、以下の2つを意識しましょう。

  1. 結果ではなく過程を描くこと
  2. 動作を分割すること

ここでは私の書いた文章を「悪例」、実作品の描写を「好例」として、比較しながら解説していきます。まずは描写がのっぺりとしている「悪例」から。

悪例1

彼女はテーブルの上に置かれていた箱から、銀色の輪っかを取り出した。(例文)

上の文章では「女性が箱から輪っかを取り出す」という結果を書き急ぎすぎています。読者に情報を伝えることは大切ですが、情報開示はワンテンポ遅らせるのが秘訣です。

プロの小説家は、次のように描写します。

☆好例

彼女は、テーブルの上に置かれていた箱を引き寄せ、蓋を開いた。中の透明なビニール袋を取り出す。袋には銀色の金属製のわっかが入っていた。

(引用『ボクハ・ココニ・イマス 消失刑』梶尾真治/光文社)

「箱からわっかを取り出す」という動作を「引き寄せる」「蓋を開く」「ビニール袋を取り出す」の3つに分割しています。ここにリアリティと動きが生まれます。

はっきり言って、いちいちこのような細部を意識して描写するのは(書き手としては)面倒に感じる作業です。だからこそ、ただ何となく楽に楽にと思考のままに書いているだけでは、上記の描写はできません。

名文ではない、一見して何の変哲もない描写にこそ、工夫が籠められています。

悪例2

彼女は、木目調のテーブルの上に置かれている黒の高級そうな箱のロックを外し、中からジッパーで密閉されたビニル袋を取り出した。袋のなかにはステンレス製だろうか、直径十センチほどの銀色のわっかが入っていた。(例文)

別の悪例を書いてみました。

過剰描写の例です。読者に伝える必要のある情報以外の描写に力を入れると、途端にリーダビリティが落ちます。

動きを出すのが目的であれば《行動描写》のみを分割してみることが大切かもしれません。

悪例3

彼女は箱の中から銀色のわっかを取り出した。その時点で俺には嫌な予感がしていた。囚人にとって《輪》とは、手錠や足かせをはじめ、拘束具を意味する。では目の前のリングは、その大きさから鑑みて首に着用する首輪ではないのか。俺は恐怖にわなないた。(例文)

心理描写を付け加えた例です。心理描写によって、先の展開のネタバレをするのは、まずやらない方が良い(ベター)です。

「箱から取り出した輪っかをどう使うのだろう?」という好奇心が読んでいる最中に生まれ、それが読者にとっての推進力となります。意図的にミスリードを誘うのならまだしも、下手な《予測》を心理描写中に入れると読み進める楽しみを奪ってしまいます。

読ませる描写において「情報を待機させる」という考え方は非常に重要なポイントとなります。(小説に限らずセールスレターやコピーライティングの世界でも、情報待機のレトリックが用いられます)

「動作を分割させる」をもっと詳しく

他作品の例も挙げてみます。

私は墓地の手前にある苗畠の左側からはいって、両方に楓を植え付けた広い道を奥の方へ進んで行った。するとその端れに見える茶店の中から先生らしい人がふいと出て来た。私はその人の眼鏡の縁が日に光るまで近く寄って行った。そうして出し抜けに「先生」と大きな声を掛けた。先生は突然立ち留まって私の顔を見た。

(引用『こころ』夏目漱石/青空文庫

結果だけを描くのであれば「墓地近くの茶店で先生を見かけたので声をかけた」の一文で事足りる。それが小説となると(上の文章の場合)146文字まで引き伸ばされるわけです。

「先生に声をかける」の結果に至るまでのプロセスとして、「苗畠に入る」「道を進む」「茶店から先生が出て来る」「近寄る」と分けて分けて描写する。しかも決して無意味な情報の羅列ではなくて《私》のストーカー気質な性格だとか、先生の暗い過去を匂わせる《墓地》というキーワードだとか、いろいろと仕込まれている。

さらに細かいことを述べると、上記の描写は「手前から奥へ」視点をフォーカスさせることによって動きを持たせています。

  1. 苗畠(手前)
  2. 両方に植え付けられた楓(少し奥)
  3. 端れに見える茶店(最奥)
  4. →先生に寄っていく(再びズームイン) 

「手前から奥へ」の順序で描写する手法を序次法(じょじほう)といいます。小説の基本テクニックのひとつですので、覚えておくと役に立ちます。序次法については次記事で詳しく解説をします。

描写では(動作の主体となる人物の)視線の動きを意識して描くと、格段に良くなります。基本は近くから遠くへ。

午後の三時頃で、冬の日が、お庭の芝生にやわらかく当っていて、芝生から石段を降りつくしたあたりに小さいお池があり、梅の木がたくさんあって、お庭の下には蜜柑畑がひろがり、それから村道があって、その向うは水田で、それからずっと向うに松林があって、その松林の向うに、海が見える。海は、こうしてお座敷に坐っていると、ちょうど私のお乳のさきに水平線がさわるくらいの高さに見えた。

(引用:『斜陽』太宰治/青空文庫

「いい景色だった」で終わるところをここまで分割して詳細に描くのが、小説の技法です。これもやはり「手前→奥」へと視線が移動していきます。

芝生→石段→池→蜜柑畑→村道→水田→松林→海へと、奥へ奥へ。風景そのものは一枚画として写真にも収まるものでしょう。しかしこのように手前から奥へと順番に進んでいくことで、映画やアニメのような動きを持った情景描写となります。

それにしても、太宰治はなかなか描写が色っぽいんですね。人間失格が代表作として語られていますが『斜陽』『パンドラの匣』『女生徒』『グッド・バイ』あたりを読むと印象が一変しますよ。

まとめに入ります。

  1. すぐに結果を描くのではなく、まずは過程を描く(情報を待機させる)
  2. 動作を分割させる(輪を取り出す→箱を引き寄せる/蓋を開く/袋を見せる) 
  3. 視線を分割させる(手前から奥へ ※視線分割の技法は、次記事の序次法のところで詳しく書きます)

『ボクハ・ココニ・イマス 消失刑』のレビュー

今回、最初に引用に用いた作品『ボクハ・ココニ・イマス 消失刑』(梶尾真治 著)について簡単に感想を書こうと思います。


ボクハ・ココニ・イマス 消失刑

『消失刑』というのは、簡単に言えば受刑者を透明人間にしてしまう刑罰のことです。消失刑を受けると、受刑者は誰からも姿を視認されなくなり、会話や文章によるコミュニケーションはおろか、人に近づくことさえできなくなってしまいます。

そのうえ、(刑罰なので当然ですが)銭湯で覗き見するなどの犯罪行為はできないようになっていますし、テレビなどの娯楽も禁止されます。

このような「対象をぼっちにする!」刑罰である消失刑を受けた主人公を軸に物語が進みます。作品全体のテーマは《孤独》です。

書き手視点から視たすごいところ

本作は『主人公は誰ともコミュニケーションを取ることが許されず、一切の(エキサイティングな)犯罪行為を取ることができない』という設定を守って書かれている、ある種のシミュレーション小説です。

これ自体が、すごい。

小説とくにエンターテイメント小説は、どんな形であれ、主人公のコミュニケーションによって物語が進みます。《コミュニケーション禁止》の縛りはなかなかに、書き手としてはきつい。大変難しい。

透明人間になってエロいことができるならともかく、本作の主人公はそもそも他者の半径一メートル以内に近づくことさえ許されません。そんな、他者と一切の接触を禁止された状態で、どうして話が進展していくのか。

人間関係を描くことで《孤独》を表現するのは難しくありません。いじめだとか、仲間の裏切りだとかを描きます。しかし、他者からその存在そのものを無視される《孤独》を長編原稿で書くのは、うむぅ……何とも骨が折れる。

コミュニケーションのない小説なんて、ふつうに書いていて面白くなるはずがない。それを最後まで読ませてしまう筆力は評価されるべきだと感じます。

(終わり) 執筆・改稿/海鳥まき ※旧筆名オロロン

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ホラ吹きの語る《希望》は…(はてな題詠「短歌の目」第11回9月)

はてな題詠、参加はこれが2回目となります。第二期スタート、とても嬉しいです。

今回のテーマは「秋」ですね。肌寒くなってくると心なしか憂鬱になったり孤独を感じたり、そんなときこそ短歌を詠みませう! 

 

1. 星

承認に飢えし星喰いブクマする スターください! 紫スターで!

 

2. 吹

ホラ吹きの語る《希望》は虚構だが命を救うプラセボもあり

 

3. はちみつ

人生は甘くないとか言う奴にぶっかけてやれハチミツの壺

 

4. 川

川の字になって寝ている三角の恋にもつれた男女三名

 

5. 秋刀魚

リスカする私を見てる秋刀魚の眼 死んだサカナと死にたいワタシ

 

テーマ「秋」(5首)

 

6

「恋がしたい」ポテチを食べてソファに寝て 秋アニメ見て想う夜更けよ

 

7

残業を終えた靴先山へ向く 冬眠したい クマになりたい

 

8

足元に落ちた紅葉とアスファルト 黒いスーツが似合わぬ自分

 

9

真っ白のシーツかぶってダンスする ハロウィンの夜わたしはひとり

 

10

明日から本気を出すと決意して 十ヶ月経ち気がつけば秋……。

 

ありがとうございました。

 

前回詠んだ短歌

 

(終わり)

報われない無垢な努力を迎え入れる

努力が報われないと感じることが多々ある。

本当に、このまま頑張ってもうまくいくのだろうか、徒労に終わるのではないか。

そんな心の囁きが、やる気を根こそぎ奪ってゆく。

 

いろんなことを言う人がいる。

「報われない努力なんてない。行動には必ず結果が伴うんだ。因果応報!」

「努力が報われないなんて思っているうちは、まだ甘い。それは本当の努力じゃないんだぜ」

「下手に努力に見返りなんか求めない方がいいよ。裏切られるから」

どれが正しいのだろうか?

 

でも、よくよく考えてみれば、100%報われる完璧な努力というのも存在しないし、逆にまったく結果が返ってこない0%の報いというのも無いような気がする。

イチかゼロかのデジタルではなくて、もっと曖昧な関係が「行動と結果」の間にはある気がするんだ。

 

努力が報われないものだと感じるものの、完全に報われない完璧な努力も存在せず、結局のところ68%の努力で35%報われた的な、中途半端な行動と結果の現実を受け入れつつも、前に進んでいかなければと思った。

 

【終】

NPC(ノンプレイヤーキャラクター)の幸福論

私はアイ。

ロールプレイングゲーム王国に住む、14歳のNPC (non player character)

独自AI (Artificial Intelligence 人工知能)を搭載していて、自分の頭で考えて行動することができるの。当たり前でしょ?

 

この街の人たちは、ほとんどがNPCなの。

みんな幸せに仲良く暮らしているんだよ。モンスターは怖いけどね。

 

ある日、街にユウシャの男の子がやってきた。

でもその人はPC (player character)だったの。

外観はわたしたちと同じなんだけれど、彼は自由意志 (free will)を持っていない。

制御機械の十字キーやA・Bボタンで操られているお人形さんなの。

 

街の人たちは、ユウシャの男の子を哀れんで、とても優しく接するんだよ。

恐れという感情を知らない機械のユウシャでなければ、モンスターは倒せない。

私もその意味では、街の平和を守ってくれるユウシャに感謝しているし、みんなと同じように彼のことを「かわいそう」って思う。

 

でも、本当はユウシャのこととっても好きなんだ。

いつかユウシャにも、私たちと同じココロが宿るといいな。

 

【終】

小説のプロット作成ツール(タロットプロット)を大幅にアップデートしました!|ブログ2周年記念

ときまき!は2016年9月13日をもって運営2周年を迎えました。

これを記念して、小説や漫画のプロットを作るためのアイデアツール『タロットプロット』を大幅にアップデートいたしました。

タロットプロットとは?

タロットプロット

 

初めての方は、ぜひ上のサイトにアクセスしてみてください。

タロットプロットでは、156枚の創作カードを展開し、プロットのアイデアを出していきます。キャラ設定や世界観設定を掘り下げていくのに役立つツールです。

タロットプロットについて詳しくは1年前のブログ記事

でも書いています。去年いくつか挙げていた「改善案」の部分は今回のアップデートでほぼ実現できました。

今回アップデートでの変更点一覧

1.「レスポンシブデザイン」に完全対応

レスポンシブデザインに完全対応し、PC・スマホ・タブレットなどあらゆるデバイスで、全く同一のコンテンツが閲覧できるようになりました。

2.「占い結果のツイート機能」の実装

タロットプロットで占った結果をツイッターで呟けるようになりました。ツイートのリンク先のURLにアクセスすれば、(カード内容が変わることなく)同一の占い結果が表示されます。

URLパラメータを悪用した不正攻撃(クロスサイトスクリプティング)への対策も万全です。パラメータの中身をどのようにいじられたとしても、安全に使えるようにしています。

3.「占い結果ページのブックマーク保存」が可能に

従来版はJavaScriptで処理をしていたため、占い結果を保存する方法が「占い結果コピーフィールドからコピー&ペーストしてメモ帳に貼り付ける」しかありませんでした。

今回、占いシステムの根幹をJavaScript→PHPへと切り替え、占いページのURLパラメータに結果が表示される仕様としています。

URLで占い結果が固定されるので、占いページをブラウザのブックマーク(お気に入り)に登録すれば、いつでも同じ結果を閲覧できます。

例えばスマートフォンから占っていて結果を保存したいとき、ページをブックマーク登録しておけば、あとでPCからも同じ結果を見ることができます。(ブラウザのブックマーク同期をしている場合)

4.「通常モード」と「SPモード」の機能拡充

占い結果を上から順番にリスト形式で読み込んでいく「通常モード」に加え、タロット占いのようにカードをスプレッド展開できる「SPモード」を用意しました。どちらもPC、スマホの双方で使えます。

ちなみにSPモードは(スペクタクル・スペシャル・スプレッドモード!)の略です。通常モードとSPモードは、結果画面でも切り替え可能です。

5.「フリースタイル」の大幅強化

自由にカード展開ができる「フリースタイル」のバリエーションを増やしました。タロット占いではおなじみの《ヘキサグラム展開》や、大塚英志氏考案のプロット作成展開法も、フリースタイルで占えるようになりました。

なお、フリースタイルでの占い方式はSPモード限定となります。

6.「カードリスト」ページの増設

新設した「カードリスト」では、全156種のカードの一覧、およびヒントキーワードを閲覧できます。「Ctrl+F」で気になる単語をページ内検索してみれば、何かしらのインスピレーションが得られるかもしれません。

7.「旧デザイン版タロットプロット」の保管

今回、デザインや仕様を大幅に変更しました。「前のバージョンの方が使いやすかったのに」という声はあるだろうと予測しています。そのため、旧バージョンのタロットプロットをまとめてサブドメインの方に移転しています。

旧タロットプロット( http://previous.tarot-plot.com/ )のページから引き続き従来版もご利用いただけます。

トップページのデザインは旧版の方がお洒落でしたね。その辺りの未練はあります。

所感

去年のブログ記事で

頂いたアドバイスは必ず、今後の改善に繋げます。

と誓ってから早一年。だいぶ遅くなってしまったものの、ようやく実現できて良かったと心底思います。

開発当初はPHPのPの字も知らないくらいで、頑なにJavaScriptですべて実装することに拘っていました。今にして思えば、PHPを使ったほうが、占いシステムを作るのは圧倒的に楽だったのですね。

もっとはやくにPHPを勉強しておけばよかった……。

タロットプロットはマネタイズが目的ではなく(というより毎月1000円の赤字を出してまで運営を続けているサイトなのですが)とにかく小説のプロット作りをもっと楽にしたい!という一心でサイトを完成させました。

サイト開発に要した時間をかければ、じつは長編小説が3本くらいは書けちゃうのですが、それでもタロットプロットを使って小説のプロットを作れるようになりたい、そしてあわよくば「新人賞を受賞したい!」という希望の限りが当サイトには籠められています。

私が受賞パーティに出席できたあかつきには、それはもちろんタロットプロットを大々的に、もっとたくさんの人に広めたいと考えていますし、もし皆様が受賞するのに本ツールがお役に立てたのであれば、ぜひ「タロットプロット」を作家志望の友人におすすめください。

今回「レスポンシブデザイン」と「PHPによる占いシステム」を導入したことで、今後の開発がものすっごく(今までの苦労に泣きたくなるくらいに)やりやすくなりました。

タロットプロットはまだまだこれからも、進化を遂げる予定です。今後のアップデートにご期待ください。

あともし不具合など見つかりましたら、

に匿名でも良いのでお気軽にご連絡ください。

この3日間はひたすらに不具合をやっつける作業をしておりまして、奴はモグラのようにポコポコと出てくるので困ったものです。

あと最後になりますが、タロットプロットは運営1年以上になるにも関わらず(私が宣伝とコンテンツ拡充を怠けていたために)ほとんど誰にも知られていない超マイナーなWebサービスです。

アクセス解析を見ても、1日に数人がちらほらと訪れるくらいで、普段は閑古鳥が鳴いております。でもここで「シェアしてください!!」というのはなんだか違う気がして、Webサービスは何よりも人の役に立てなければいけない。

タロットプロットの目的は単純明快にして強欲で「タロットプロットでプロットを作って新人賞を突破しよう!!」の一言に尽きます。

したがって、本ツールを活用した新人賞受賞者が誕生して初めて、私はタロットプロットを作った目的を果たせたといえます。アクセス数だかPV数だかよりも、こちらの方がはるかに重要です。

(今この記事を読んでいるのが作家志望者だと仮定して)皆さんぜひ受賞をかっさらってやりましょう!! 私も全力で頑張ります。タロットプロットは、受賞レベルのプロット作成に耐え得るツールを目指して、今後も改良を続けるつもりです。

タロットプロットが皆様の創作の一助となりましたら、私としてはこれほどに幸せなことはありません。

(了)

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このブログについて|四周年記念

ときまき!を2014年9月13日に開設してから、ちょうど4年が経ちました。

ここまで継続できたのはひとえに読者の皆様のご支援とご声援のおかげです。はてブやスターも、とても励みになりました。この場を借りて心からの感謝を申し上げます。

まだまだ至らぬところもありますが、これからも頑張りますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。

(ときまき!一同)

このブログは何なの?

(海鳥まき)

「ところで、このブログって結局のところ何なんですか? なんか文体とかコロコロ変わりますし」

(魚崎とき)

「なに言うとーのん!! 此処は狂気混沌の生み出す一大創作実験場やで!!! うちらはブログで、《こいつは(色んな意味で)ヤバイ……ランキング》の優勝を目指してるんや」

「そんなの目指さないでくださいよー。あと、ときちゃんは《はてな》を舐めすぎです」

登場人物紹介

「ときまき!」はタルパシステムによって生み出された架空の物書きが五名が集う、狂気と混沌の創作実験研究室です。

以下、人物紹介です。

魚崎とき(うおざきとき)

ときまき!の創立者であり先導者。

夢分析や自動記述、アクティブイマジネーション等、自己の無意識にすべてを委ねる創作手法を好む。プロットを一切用意せずにその場のノリと勢いで書き始めるので、八割方途中で挫折して未完原稿の山を生み出してしまう。しかしサークル内では最も速筆のスピードタイプ。

研究対象は《ピンクのゾウ》。狂気と混沌によるデュオニソス的創作を目指している。

女子高生、関西弁、一人称は「うち」

担当カテゴリ:魚崎とき

海鳥まき(うみどりまき)

ときまき!の参謀担当。

タロット占いを活用してキャラクターやストーリーを組み立てる創作手法を好む。プロットは脚本理論に忠実。自己の発想力には頼らず、完成されたノウハウとセオリーに則って機械的にたんたんと書くことを得意とする。

執筆スタンスが真逆である魚崎ときと衝突することも多いが、良きライバルとして互いに認めあっている。サークル内では唯一の受賞経験(星の砂 第2回ショートショートコンテスト 審査員特別賞)を持つ実力者である。

研究対象は《タロットプロット》。タロット占いでプロットを作成するためのWebツールを五条ダンと共同で開発した。

女子高生、丁寧語だがわりと毒舌、一人称は「私」

担当カテゴリ:海鳥まき

月波ツカサ(つきなみつかさ)

ホラーと恋愛を融合させたジャンルを得意とする。生来の引きこもりで、家からは滅多に出ない。宮沢賢治を愛読する。お絵描きとゲームが好き。

研究対象は《冷凍イカの瞳》。私が今ここに生きている驚き=「存在神秘」を作品に宿すことを至上命題とする。創作では絶望の先にある光を見つけ出そうともがいている。

一人称は「私」だが、書くときに「僕」や「俺」もよく使う。「あたし」にも挑戦してみたいと思っている。まともなメンバーがいない研究室内でも取り分け謎多き存在。

担当カテゴリ:月波ツカサ

深見くらげ(ふかみくらげ)

ときまき!のタルパシステムを生み出した原初にして全ての元凶。

本質は消された言葉にこそ宿るとし、文章を徹底的に削る創作手法を好む。

孤独を愛し、思索と内省のために世界を旅する。古びたコートのポケットに常に入れている消しゴムは、いつの日か自分の存在を完全に消し去るために使うらしい。

基本的に他のメンバーとの接触を持たない。架空生命体のクラゲを通し、ひっそりと皆の行く末を見守っている。

研究対象は《消失アメーバ》。「作者と作品は切り離される。自己消失によって物語は作られる」を信条とする。

一人称は「私」

担当カテゴリ:深見くらげ

五条ダン(ごじょうだん)

ときまき!の広報担当。

無い内定で大学を卒業後、ネットの海で細々とWebライターなどをして生計を立てている人。文体はどこか自虐的。恋人は百円ショップで買ったサボテン。コンプレックスを昇華させたユーモアに救いを見出している。

研究対象は《ナメクジオバケ》。「現実は甘くない。だからこそ甘さが必要である」をモットーとする。修辞技法(レトリック)の分析を得意とし、文体に重きを置く創作スタイルを好む。しかし筆速はナメクジの歩みのように遅い。

いわゆる中の人と最も結びつきの強い人格であるため、当サークルの統括代表として活動している。ツイッター、小説投稿サイト、電子書籍、同人誌即売会等では五条ダンとして作品を出すことが多いものの、あくまで便宜上の代表名義であり、必ずしも"彼"が執筆しているわけではない。

一人称は「ボク」「僕」

担当カテゴリ:五条ダン

運営者と連絡先

いわゆる中の人:五条ダン(ごじょうだん)

  • 連絡先:お問い合わせフォーム|五条ダン

    Googleメールフォーム。匿名でもメッセージ送れます。返信を希望される場合は、メールアドレスをご記入ください。返信に一週間ほどかかる場合があるため、お急ぎの場合はツイッターにお願いします。

他の運営サイト

おわりに

実のところ、何の目標も目的もなく、思いつきで「ドーン!」とはじめたブログで、まさか二年も続くとは思ってもみませんでした。

「ブロガーとブログ」換言すれば「作者と作品」は本来ならば、切って切り離せない関係です。その常識を覆すことができれば――虚構の(それも複数の)書き手が、紙上で創作バトルを繰り広げるような、そんなブログが書けたら良いな、というコンセプトが、初期構想段階でありました。

創作実験はまだ途上であり、さらなる高みを目指して、書いて書いて、悩み葛藤しながらも、書き続けていけたらと思います。

ありがとうございました!

(おわり)

オプトイン・オプトアウトの意味と違い

とき台詞

ITパスポートの勉強してたらオプトインオプトアウトって単語が出てきたんやけど、これってどういう意味なん?

まき台詞

簡単にはこういう意味です。

オプトイン(Opt-in)

Webサービスにメアドを登録したときに、メルマガを受け取るかどうかをユーザーがあらかじめ選択することができるタイプのもの。

具体的には「お得な情報を受け取る!」「メルマガを購読する!」といった文言の横にチェックボックスが用意され、そこにチェックを入れて登録すると、広告メールが届くようになる。

つまり、メルマガ配信の前に必ず受け手の《承諾》が必要となる。

オプトアウト(Opt-out)

Webサービスにメアドを登録したときに、運営から勝手にメールマガジンや広告メールが送られてくる、うっとうしいやつ。ユーザーはメールを受けとりたくなければ、わざわざ《メルマガの購読解除》の手続きをしなければならない。

ユーザーの承諾なしに広告を送りつけるのでは迷惑メールと変わらないため、現在では特定電子メール法および特定商取引法によりオプトアウトは原則禁止されている。

……はずだが、実質的なオプトアウトメールが世に氾濫している。(後述)

とき台詞

オプトインとオプトアウトがごっちゃになってよくわからんのやけど……。

まき台詞

オプト-イン、-アウトの「オプト」って、私たちが日常でよく使う「オプション」から来ているんですよ。

つまり

Option=オプション
選択できるもの、選択権
Opt-in=オプトイン
ユーザーが「入る」ことを選択できる=広告メールを「受け入れる」かどうかを選択できる。
=「メールマガジンを購読する」のチェックボックスに《イン》する!
Opt-out=オプトアウト
ユーザーが「出る」ことを選択できる=広告メールを「出て行かせる」かどうかを選択できる。
=「メールマガジンを購読する」のチェックボックスから《アウト》する!

どうでしょうか?

これでスッキリまとまったんじゃないでしょうか。

少なくともこの覚え方ならば、両者を取り違えることはないでしょうし、ニュアンスも掴みやすいでしょう。

とき台詞

いやいや、まだ納得いかんことがあるで。

ぱっと見オプトインやけども、実質的にオプトアウトなWebサービスっていっぱいあるやん!

例えばリクルートの運営している「ポンパレモール」

あれって、商品を買うときの注文画面で「お得なメールマガジンを購読する」のところにデフォルトでチェックが入ってるんや。しかもページの下の方の、目立たないところにチェックボックスがある。気付かずに商品購入ボタンを押すと、勝手にメルマガ購読してしまう。

で、メルマガ届くたびに購読解除手続きをするんやけども、また買い物をするときにうっかりチェックを外し忘れてしまって、再びメルマガが届く。

こんなん、ほんとにオプトインを実現してるって言えるん?

まき台詞

ま、まぁポンパレモールに限った話ではないですが、多いですよね。楽天市場もそんな感じですよ。

しかしユーザビリティのためにも、「メルマガ購読」のチェックボックスはデフォルトで外しておくべきだ!という考えは、広まってはきているようです。

ちなみにときちゃんが言ってた「メールマガジンを購読したくないのなら、自分でチェックを外してね!」というタイプのものを《事前オプトアウト》と呼ぶこともあります。実質的にはオプトアウト方式と変わらない、とする考え方です。

チェックボックスを外さなかったからといって「承諾したものとみなす」のは、ユーザーの不注意に期待しているようで、良い印象は受けません。

とき台詞

あとあれ、フリーソフトとかをダウンロードして、インストールするときに「Yahoo!ツールバーをインストールする」とか「Baidu IMEをインストールする」とかにデフォルトでチェック入ってるやん。

で、うっかりチェック外さずインストールすると、勝手に余計なものがくっついてきてアンインストールにやたらと手間かかるやつ。

あれも事前オプトアウトやん。許すまじ。

まき台詞

ま、まぁ…フリーソフトなら無料で使わせてもらっているのでそのくらいは我慢すべきだと思いますが……、有料のソフトでもたまにあるので、ユーザーにとっては不便ですよね。

Webサービスの会員登録だと、逆に「ダブルオプトイン」のものが増えてきましたよね。

メールアドレスを入力して会員登録手続きを済ませても、まだ本登録は完了していない。登録メールに送られてきた認証URLをクリックして初めて、会員登録が完了する。そんなタイプのシステムを《ダブルオプトイン》と呼びます。

ITパスポートの試験であれば、オプトインとオプトアウトの違いさえ分かっていれば十分です。ここでご紹介した事前オプトアウトやダブルオプトインは余談です。

オプトインについては『特定電子メールの送信の適正化等に関する法律』の第三条に定めがあります。

第三条  送信者は、次に掲げる者以外の者に対し、特定電子メールの送信をしてはならない。
一  あらかじめ、特定電子メールの送信をするように求める旨又は送信をすることに同意する旨を送信者又は送信委託者(電子メールの送信を委託した者(営利を目的とする団体及び営業を営む場合における個人に限る。)をいう。以下同じ。)に対し通知した者

(引用:特定電子メールの送信の適正化等に関する法律

オプトイン方式では、受信者側の同意を『あらかじめ』得ておかなければならないというのがポイントですね。

もっと詳しく知りたい方は、総務省のサイトがおすすめです。

総務省|電気通信消費者情報コーナー|迷惑メール対策

上記ページの『広告・宣伝メールを送られる方へ』の項目にある《特定電子メールの送信等に関するガイドライン》というPDFファイルに分かりやすくオプトイン規制についてのポイントが書かれています。

ではそろそろまとめに入りましょう。

まとめ

オプトイン(Opt-in)

ユーザーが広告メールを受信するかどうか、事前に選択できる。

オプトアウト(Opt-out)

ユーザーは《配信解除》をすることによって、広告メールを受け取らないようにすることができる。

  • オプトイン(事前承認)がなく、オプトアウト(配信停止)だけが用意されているもの
  • あるいはオプトイン(事前承認)はあっても、オプトアウト(配信停止)ができないもの

これらはユーザーにとって迷惑であり、特定電子メール法違反となり得る。

また、オプトインでは『メルマガを購読する』のチェックボックスが標準で外れている方が望ましい。ユーザーの不注意や見過ごしを期待してメルマガを購読させるのは、厳密な意味でのオプトインとは呼べない。

(おわり)


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